地衣類の用語 
地衣類とは
 地衣類は世界に約2万種ほどもあるといわれ、日本では約1500種(日本産地衣類チェックリスト:Kurokawa, S. (ed.) 2003.  Checklist of Japanese Lichens.  National Science Museum, Tokyo.  128pp.)が報告されている。地衣類 lichenes は蘚苔類とは異なり、植物でなく、菌類 fungi の一種とされ、菌類が藻類 algae を体内に共生し、植物的な一面を持った複合体である。菌類が藻類と共生することを地衣化 lichnized といい、地衣化したものをを地衣体 thallus という。学名はその構成菌類につけたものとみなされ、共生する藻類は藻類としての別の名を持つ。共生藻は光合成を行うため、フォトビオント photobiont ともいわれる。
 地衣類の構成菌類は子嚢菌類 ascomycetes と坦子菌類 bacidimycetes であり、ほとんどが子嚢菌類である。子嚢菌類を構成菌類とする地衣は子嚢地衣 ascolichens といい、坦子菌類を構成菌類とする地衣は担子地衣 basidiolichens という。ケットゴケDictoynema sericeumやアオウロコゴケOmphalina hudsonianaなどが知られる。坦子地衣の中にはきのこの子実体をもつものもあり、 mushroom-fruited lichens という。チャサカズキタケ Lichenomphalia umbellifera やアオウロコダケ Lichenomphalia hudsoniana はその例である。
 子嚢菌類や坦子菌類の中で子嚢胞子や担子胞子を作らないものを不完全菌類 hyphomycetes といい、それを構成菌類とする地衣は不完全地衣 imperfect lichens という。不完全地衣は少なく、レプラゴケ Lepraria がその代表例である。
生育場所
 日当たりを好むものと日陰を好むものがある。岩、樹幹、樹皮、樹枝、土上、朽木などの基物 substrata に着生する。樹皮だけにつくもの、岩上だけにつくもの、場所を選ばないものなどがある。
 ○岩石着生(岩上着生) saxicolous:地衣が岩石、石垣などに着生するもの
  ・岩石上生epilithic :岩石の表面にとどまるもの
  ・岩石内生endolithic:岩石内(特に石灰岩の場合など)に入り込んでしまうもの
 ○蘚上着生 muscicolous:蘚苔類の上に生えるもの
 ○樹皮着生 corticolous:樹幹や枝に生えるもの。 
  ・樹皮上生 epiphloeodal:樹皮の表面にとどまるもの
  ・樹皮内生 endophloeodal:樹皮の内部に入り込んでしまうもの
 ○地上着生 terricolous :土上に着生するもの 例 ハナゴケ科
 ○生葉上着生(葉上地衣) foliicolous :樹木やシダなどの生きた葉の表面に生育するもの。
  ・epicuticular :葉のクチクラの表面に張りつくもの
  ・subcuticular :葉のクチクラの下に入り込むもの 例 サネゴケ科
 ○水生地衣 aquatic lichens :海岸の潮間帯や河川などの半ば水没する場所に生育するもの
  ・淡水生地衣 freshwater lichens:例 アナイボゴケ科
  ・海岸生地衣 maritime lichens(marine lichens):例 アナイボゴケ属、Pyrenocollema
地衣体の内部構造
 地衣体は菌糸 hypha (pl. hyphae) と呼ばれる糸状体であり、このかたまりをミセリウム mycelium という。この菌糸と共生する藻類 algae が集まってできる。共生する藻類を共生藻(gonidia=ゴニヂア)という。地衣体(thallus)は普通、断面で、上皮層、藻類層、髄層、下皮層からなる。
① 皮層 cortex :地衣体を保護する外側の層、菌糸が融合した組織からなる。上側の皮層を上皮層 upper cortex、下側の皮層を下皮層 lower cortex といい、これらを欠くものもある。
 ○異形菌糸組織 paraplectenchyma :皮層の細胞組織が明瞭な組織。
  菌糸が変形し、細胞が太く、短くなっている。偽柔組織ともいう。
 ○繊維菌糸組織 prosoplectenchyma :皮層の細胞組織が不明瞭。
  細長い菌糸細胞が平行に並び、両端が細くなる。
 ○白斑 macula:地衣体の背面に現れる白斑、直下の藻類によってできる。
 ○白粉 pruina:地衣体上皮層を覆うことがある白色~青色の粉末状のもの。
 ○背面=上面 upper surface 、腹面=下面
  平滑 smoose 、しわがある rugose 、粉芽がある sorediate
② 藻類層 algal layer :普通は上皮層と髄層の中間にあり、藻類が共生する層
   異層地衣 heteromorphous lichen :境界が明瞭なもの。
   同層地衣 homomerous lichen :境界が明瞭でないもの。
 ○フォトビオント photobiont:地衣体を構成する光合成生物、共生藻を言い換えたもの
 ○藍藻地衣 cyanolichens:シアノバクテリア(cyanobacteria)を主な共生藻とする地衣類。
   藍藻(らんそう) blue-green algae はシアノバクテリアの中の1群を指す。
③ 髄層 medulla :菌糸がゆるくつまっている。白色のことが多く。黄色などに着色することもある。顕微鏡の透過光で見ると暗く見え、白色に見えないことも多い。
 チョロギ細胞:チョロギウメノキゴケなどの髄層で見られる。
    菌糸の先が球形になり、数個が繋がり、チョロギの形に見える細胞。

地衣類の生育形状による分類
 系統的な分類の属と違い、外形により主要な3つの生育形(growth forms)に分類する。アナイボゴケ科などはいろいろな外形をなす。樹枝状地衣では基本地衣が葉状~痂状であり、後に樹枝状になるものも含めている。葉状地衣のうち特に小さいものを鱗片状地衣として細分する。痂状地衣を小型地衣 microlichens 、樹状地衣と葉状地衣を大型地衣 macrolichens と大きさで分類することもある。
① 痂状(かじょう)地衣 crustose lichen :固着地衣とも呼ばれ、腹面全体で基物に密着する。ダイダイキノリ科、コガネゴケ科、チャシブゴケ科、トリハダゴケ科、ヘリトリゴケ科、スミイボゴケ科、モジゴケ科、チブサゴケ科、キッコウゴケ科、アオバゴケ科、ピンゴケ科、イワボシゴケ科、キゴウゴケ科、ニセサネゴケ科、ホシゴケ科など
  ○分類
   ・小区画状 areolate:初期には地衣体が粒状に分かれる。
      下生菌糸の上に地衣体が成長すると、連続し、小区画が出来る。
   ・亀裂状 rimose:初期には地衣体が連続し、後に亀裂が入る。
   ・鱗殼状 placodioid:地衣体は放射状の裂片をつくり、裂片が基物に直接、固着する。
   ・ふけ状 leprose: 地衣体は若いときから皮層がなく、小さな綿状の顆粒からなる。
  ○腹面は皮層を欠き、菌糸が基物に固着する(adnate)。
  ○固着性の:crustose
  ○表面の状態 カサカサ:leprose、カサカサして粒状:leprose-granular、
        亀裂がある:rimose、疣(いぼ)状の:verrucose、疣(いぼ)状の:tuberculate
  ○表面に亀裂が入り小区画(arelora)を形成することもある。小区画状:areolate
  ○疣 いぼ(瘤 こぶ) verrucae :地衣体の背面にできる子器を入れるいぼ(こぶ)など。
    小疣状の verruculose、疣状の verrucose
  ○ゴニオシスト goniocyst:地衣体表面を覆う直径12~40µm程度の小球体
    皮層がなく、短細胞菌糸が絡み合った共生藻からなる粒。
    タマイボゴケ属やトリハダゴケ属で見られる。
  ○輪郭部分に見える菌糸は下生菌糸(hypothallus)といい、共生藻を含まない。
    下生菌糸は前葉体(初生菌糸) prothallus ともいう。
    真菌細胞 fungal cell が観察できる。
② 葉状地衣 foliose lichen :地衣体が扁平で、分裂して広がり、多くの裂片(lobe)をもつ。ロウソクゴケ科、ウメノキゴケ科、ムカデゴケ科、ヨロイゴケ科、ハナビラゴケ科など
 不規則な分枝、2叉状の分枝、繰り返し分枝、不同叉状分枝、掌状分枝
  大型(直径5㎝以上)、中型(直径3~5㎝)、小型(直径3㎝以下)など大きさにより分類する。
   大型地衣(macrolichens)、小型地衣 (microlichens)
  鱗片状地衣 squamulose lichen :葉状体が1㎝以下と非常に小さいもの。下皮層がない。
  異層地衣 heteromorphous lichen :藻類層の境界が明瞭なもの
   ・臍状(さいじょう)体地衣 navel lichen :腹面の1点から出る臍状体(umbilicus)で固着する。
   ・緑藻地衣 chlorolichen :藻類層は緑色の緑藻だけであるもの
  同層地衣 homomerous lichen :藻類層の境界が不明瞭なもの
   ・藍藻地衣 cyanolichen:藻類層が藍藻だけか、藍藻が混じるもの。
  膠質(こうしつ)地衣 gelatinous lichens:湿るとゼリー状になり、膨れる。
    共生総藻が藍藻類のリキナ科、イワノリ科
 ○偽根 rhizine :多くの葉状地衣の腹面にある根のようなもの、菌糸が集まってできている。
   単一 simple 、叉状分枝 baranched dichotomous、ささくれ分枝 branched squarrosely、
   束状 fasciculate
 ○シリア cilia :葉状地衣の縁にあるまつげのようなもの。普通、長さ0.5~6㎜。
 ○末梢性 peripherally(例:naked peripherally:先端に毛がない状態)
 ○盃点 cyphella (pl. cyphellae):地衣体腹面にある孔のうち皮層があるもの。
 ○擬盃点 pseudocyphella (pl. pseudocyphellae):地衣体腹面にある孔のうち皮層がなく、小形。
   白色のものが多く、黄色のものもある。
 ○白班(マキュラ) macula :地衣体の背面に現れる白斑、直下の藻類によってできる。
 ○トメンタ tomenta :腹面につく、細胞が鎖状になった細い毛。
 ○小裂片 lobule :裂片の縁が細裂してつく、小さい裂片。
  lobulate:小葉(小裂片)状
 ○粉霜 pruina
 ○穿孔 pore :葉状地衣の背面や腹面に出来る孔、樹状地衣にも見られる。
 ○海綿状組織 spongiostratum :アンチゴケ科の腹面に見られる網目状の半球形の突起。
③ 樹状地衣 fruticose lichen :樹枝状地衣ともいわれる。基本葉体でき、二次的に樹枝状の子柄 podetia ができるハナゴケ科、キゴケ科などと、初めから子柄が樹枝状のサルオガセ科、センニンゴケ科、サンゴゴケ科などがある。
 ○分類 
  ・盃状地衣 cup lichens:子柄が棒状、酒盃状になる。
  ・灌木状地衣 shruby lichens:子柄が枝分かれし、灌木状になり、基本葉体は早期に消滅する。
  ・髭状地衣 beard lichens:子柄が枝分かれして直立又は垂れ下がり、中芯があるもの。
  ・毛状地衣 hair lichens:子柄が細く枝分かれして、中芯がないもの。
 ○基本葉体 primary thallus :初めにできる葉状、鱗片状、痂状の地衣体。
     消失性 evanescent のものと、永存性 persistent のものがある。
 ○懸垂性 pendulous :樹状地衣が木の枝などから垂れ下がるもの
 ○子柄 podetia:樹状の地衣体
 ○束生の fasciculate 、直立erect, 
 ○分枝の形:フォーク形 furcate、2又 dichotomous。
 ○中空 cylindrical:ハナゴケ属などは子柄が中空
 ○中実 solid :子柄が中空でないもの。
 ○中軸 axis :樹枝状地衣の子柄の内部にある菌糸の固まった中心軸。
   AQ値:中軸とその切片部分の子柄全体の厚さの比(%)であり、中軸の太さを表す。
 ○仮軸 sympodium :樹状地衣の子柄の分枝の1本が太く、主軸のようになったもの
 ○盃 cup :子柄の頂部にできる盃形の部分。
 ○盃縁 cup margin:全縁 entire、 ほぼ全縁 subentire 、歯牙状 teeth
 ○反復発芽:盃から発芽し、多段状に繰り返す発芽をいい櫓状の子柄になる。
 ○鱗片squamules:子柄の表面に鱗片をつけるものがある。
 ○擬子柄 pseudopodetia :キゴケ属などでは樹枝状の子柄を擬子柄という。
 ○刺枝 phyllocludia :擬子柄につく、小さな突起。
  顆粒状、疣状、鱗状、円筒状、円柱状、サンゴ状 coralloid
 ○頭状体 cephalodia :地衣体に共生する緑藻と異なる藍藻を含んだ背面の疣状、顆粒状の突起。
  地衣体内部にあり背面に見られないものは内部頭状体という。
  小嚢状(原生嚢状頭体:内部がつまっているもの)、小体の集合、顆粒状
④ 糸状地衣 filamentose lichen :樹枝状地衣で、枝が糸状に細いもの。糸状の藻類が地衣体の主体となり、菌糸が少ないもの。中間の棒状の地衣もある。

無性生殖器官
 ○粉芽 soredia :髄層からでき、菌類と藻類をもつ。直径10~50µmの球形
  粉状 powderyr、殻粉状 farinose、顆粒状 granular。点状 punctiform。集まってソラリアとなる。
  白色、緑白色、青白色、黄金色のものもある。
  ・粉芽状 sorediate :地衣体の表面や子器の縁の形状を表す。
 ○ソラリア(粉芽塊) soralia :粉芽が集まった塊。
  つく場所と形により、分類される。後に放散 diffuse 、融合 confluent する。
  ソラリアのつく場所や形によって多くの表現がある。
  ・縁生 marginal :縁に沿ってつもの
    点状 punctiform、線状 linear
  ・側生 laminal :地衣体の側裂片につくもの
    斑点形 maculiform、割れ目形 rimiform(fissure-shaped)、 凸面球形 convex-globular
    手形(カフス形) maniciform(cuff-shaped)、側壁形 parietal、枕(クッション)形 pulvinate
     顆粒状 granular、円形 circular 、疣状 verruciform(=wart-like)
  ・末端生 terminal:末端の裂片につくもの
    唇状 labriform 、頭状 capitate
 ○裂芽 isidia :地衣体皮層にできる微小な突起。
  円筒状 cylindrical、サンゴ状 coralloid、疣状(顆粒状)になり、脱落する。
 ○泡芽(パスチュール) pustule :地衣体表面にできる中空の泡状の突起。
  裂開して粉芽状になる。粉芽との中間的なものもある。

子器>(fruit bodies)
 =子嚢果ascocarp or ascoma=子器
 地衣類は粉芽や裂芽など無性生殖で増殖するが、子実体で作られる胞子によっても増殖する。胞子は発芽後に親と同じ共生藻と共生し、新しい個体をつくる。子実体は地衣類のキノコのようなものである。地衣類の中で胞子が円筒状又は棍棒状の子嚢と呼ばれる袋の中に形性されるものを子嚢地衣類(ascolichens)という。その子実体を子嚢果(ascocarp)といい、子器ともいわれる。子嚢果が盤状、皿状などになるものを子嚢盤(apothecia)という。子嚢盤様 apothecioid のものもある。
 子嚢果には子嚢層があり、子嚢層の中に子嚢と側糸が入っている。子嚢層の周囲の受け皿が果殻であり、その周りに皮層を持つ果托がある。果托はない場合もある。果殻、果托により子器の型を分類している。子嚢果に有柄 stipitate、無柄 pedicellate がある。
 ○果托 amphithecium :子嚢層を囲む外縁。有る場合はレカノラ型という。
                                 無い場合はレキデア型という。
  =thalline exciple=thalloid exciple。共生藻をもち、地衣体と似た色。
 ○果殻 parathecium(proper exciple=exciple):子嚢層を受ける皿。
  共生藻が無く、炭化して黒色のこともある。無色の場合はビアトラ型という。
 ○ marigin :子器盤の外側の果托や果殻に当たる部分を上部から見て。
    果托の縁 thalline margin 、果殻の縁 proper margin
 ○子嚢上層 epithecium:子嚢上端より上の表面層。子実層上皮ともいう。
  =子実層表面 epihymenium
   これを上から見て盤 disk という。
   ・(disk):子嚢上層の表面。子器盤ともいわれる。
    形状:平坦flat、凸面convex、凹面concave、球形globose, いぼ状:tuberculate
    盤の色が異なり、表面に粉状のプルイナ pruinaが付着することがある。
     細粉状:pruinose、細粉状でない:epruinose
    盤上に胞子の塊がつくことがあり、この塊をマザエヂアmazaediaという。
   イワタケ科では盤の形状がいくつかある。
    ・レイオディスク leiodisk:盤が平坦で果殻が取り囲む
    ・オンファロディスク omphalodisk:盤の中央に子嚢を含まないステリルの柱状組織、襞がある
    ・ギロディスク gyrodisk:盤を区切るギリを生じ、渦巻状に集合し、果殻が取り囲む。
    ・アクチノディスク actinodisk:ギリが放射状に並ぶ
 ○子嚢層 hymenium:子嚢を中に入れている層。
  ・ヒメニウム藻 hymenyal algae :子嚢層に共生する藻。普通ないが、共生藻をもつものがある。
 ○子嚢下層(子実下層) hypothecium:子嚢の下端より下部の層
   子嚢層と果殻(無い場合もある)の間の菌組織
 ○子嚢脚層(子実脚層) subhymenium: 子嚢層の細胞が成長する支持層
    subhymenium を広い意味でとらえ、 hypothecium と同じ意味で使うこともある。
  子嚢層、子嚢上層、子嚢下層をまとめて子実層ともいう。
 ○子嚢 ascus pl asci:胞子を入れている薄い膜の袋.。
   形は棍棒形 clavate、円筒形(長さが幅の2~3倍) cylindrical など。
   一重壁子嚢 unitunicate ascus:1重壁の子嚢
   二重壁子嚢bitunicate ascus:2重壁の子嚢
  子嚢には種により一定の子嚢胞子が入り、8個が多い。入る数も分類には重要である。
 ○側糸 paraphyses:子嚢層の中にあり、子嚢の間に発達する糸状体。
  頂部が頭状に膨れることもある。
  単一、又は分岐し、孔口 ostiole の中にあり、房状になったものは周糸 peripheses という。
 ○子嚢胞子 ascospore :単に胞子ともいう。
   胞子の色、大きさ、形、室数 locular、室の形、細胞膜の厚さなどで分類される。
   形
    惰円体 oblong、扁平な楕円体 ellipsoid、三日月形 crescent, lunula 、紡錘形 fusiform、
    インゲン豆形 kidney-bean shaped、棒状 baculiform , rod-shaped 、
    針状 aciculate , needle-shaped
   1室~多室、分極2室、石垣状多室 muriform 、菱形の室、レンズ形の室など種類が多い。
   油滴 oil dropが見られるものもある。
   室の隔壁 septate
   従属室 sporoblastidia:厚壁の胞子に見られる

子器の分類
 ○裸子器 apothecia :子器ともいう。子器が地衣体から突き出て、子嚢層がむき出しになるもの。
   レカノラ型   lecanorine type:果托がある。
   レキデア型  lecideine type,:共生藻がない炭化した黒色の果殻でとりまかれている。
   ビアトラ型   biatorine type, :果殻が炭化せず、透明 hyaline。
 ○被子器 perithecia:子器が地衣体内に埋没し、孔口 ostiole があり、子嚢層が見えないもの。
   被子器状 perithecioid
   孔口 ostiole:被子器の小さな開口部
   中心体 centrum: 被子器の果殻で閉じられた部屋。
 ○リレラ lirella :子器が細長く、地衣体表面に盛り上がり、裂け目のようになるもの。
 ○子座 stroma:数個の子嚢が作られる菌糸組織の集合体
 ○擬子座 pseudothecium :本来は二重壁子嚢の子嚢果を指す。
                  数個の子器が集まって1つの被子器のようになったもの
                  孔口が数個つく。
 ○樹状地衣の子器:子柄の枝先につく裸子器。
粉子器
  粉子器は地衣体を構成する菌糸の不動精子器 にあたるのではないかとも考えられている。子器ができる前に雌性生殖器官の造嚢器が地衣体内に発生し、その受精毛に粉子器から出た粉子がつき、細胞質融合 (プラスモガミー plasmogamy)が起こり、地衣体内で造嚢器から子器がつくられていく。子器が成熟すると子嚢胞子を放出する。
 ○粉子器 pycnidia .:地衣体内で粉子をつくるフラスコ型の器官。粉子を噴出する。
  地衣体に埋没する immersed もの、半分裸出しているものがあり、 先端は普通、黒色。
  フラスコ型 flask-shaped 、脳状 cerebriform
 ○粉子柄 conidiophore :粉子器内部にありこれに粉子が作られる。
                粉子がつく位置が頂生か側生かで区別される。
 ○粉子 pycnoconidia(conidia):粉子器内でつくられる胞子のようなものと考えられている。
   桿形 bacilliform:長さが幅の3倍以上、桿状 bacillar が多い。 
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