マツゲゴケ属 Rimelia 又はウメノキゴケ属 Parmelia や狭義のウメノキゴケ属 Parmotrema に分類される。
低地で普通に見られる。山間部に多く、都市部では見られない。和名の由来は葉体の縁に睫毛のようなシリアがあることから。
葉状地衣。地衣体は直径10~20㎝、群生することも多く、深裂し、多くの裂片に分枝し、裂片の幅は5~20㎜、裂片の先は円い。裂片はさらに細かく歯状に分裂し、その先端に幅約1㎜の枕状のソラリア(粉芽塊)をつける。背面は灰白緑色~灰褐色、目立たない網目模様(マキラ)がある。裂芽はつけない。葉体腹面は中央部が黒色、黒色の偽根をつけ、縁部が褐色、縁にシリアがある。ただし、ソラリアをつけた裂片の腹面は白色になり、シリアもないことが多い。髄層は白色。
髄層: K+黄色後に血赤色 , P+深黄色 、アトラノリン、サリチン酸を含む。
オオマツゲゴケ Rimelia reticulata はマツゲゴケに非常によく似ている。ソラリアをつけた裂片の先の腹面が白色にならず、黒色。
チヂレマツゲゴケ Parmotrema crinitum は関東地方以西の低地の樹枝に着生する。背面に裂芽があり、縁に長さ1~2㎜の長いシリアがある。,髄層:
K+黄色 ,C- , P+赤色 、アトラノリン、スチクチン酸を含む。
オオチヂレマツゲゴケCanomaculina subtinctoriaは関東以西、温帯に広く分布し、樹幹、樹枝、岩上に着生する。縁に長いシリアがあり、裂芽がある。背面に白斑や亀裂がある。裏面の周囲が褐色、偽根はやや密で、縁近くまである。髄層: K-又は赤色, KC+赤色。アトラノリン、ノルバリドン、サラチン酸を含む。
ニセマツゲゴケ Parmotrema mellissii はマツゲゴケに似て、同様な場所に生える。縁のシリアが目立ち、裂片の縁付近の裂芽が粉芽化する。ソラリアはない。髄層:
K- , C- , KC+紅色, P- 、アトラノリン、アレクトーロン酸、ロドフィシンを含む。
ナミガタウメノキゴケは裂片が波打ち、縁に粉芽をつけ、粉芽をつけた裂片は腹面が白くなる。シリアがない。
ウメノキゴケは最も普通に見られ、縁のシリアがなく、背面の中央に裂芽を生じる。