クズレウチキウメノキゴケ  崩れ内黄梅の樹木毛
[学名] Myelochroa entotheiochroa (Hue) Elix et Hale
ウメノキゴケ科  Parmeliaceae ウチキウメノキゴケ属
三河の野草
クズレウチキウメノキゴケ2
クズレウチキウメノキゴケ髄層
クズレウチキウメノキゴケ腹面
クズレウチキウメノキゴケ
 ウチキウメノキゴケに似て髄層が黄色であり、樹皮上、岩上に普通に見られる。
 葉状体は葉状、直径3~7㎝、大きいものは10㎝以上になる。裂片は幅3~6㎜、全縁。背面は灰緑色~灰色、パスチュール状の皺が多く、粉芽、裂芽はつかず、ときに崩れて粉芽のように見える。シリアは長さ0.5~1㎜、黒色、裂片の葉腋につく。髄層は淡黄色。腹面は黒色、縁は狭く褐色、偽根が密にある。偽根は長さ1~2㎜、黒色、単一又はささくれ分枝。子器は多数つき、レカノラ型、無柄~短柄、直径2~7㎜。子器盤は暗褐色、平坦~凹面。子嚢上層は褐色、厚さ10~12µm。子嚢層は高さ40~50µm。子嚢は長さ30~50µm、幅20~25µmの棍棒形、胞子は8個入る。胞子は無色、単室、長さ10~12µm、幅7~10µm、球形~惰円形。粉子器(pycnidia)は多数あり、埋没する。粉子は長さ約5µm、幅約1µm。スポットテスト 皮層:K+黄色,C-, KC-,P- 髄層:K+黄色, C-, KC+黄色, P+ 淡黄色。二次代謝物質はアトラノリン、ゼオリン、ロイコチリン(leucotylin)、ロイコチル酸(leucotylic acid)、セカロン酸(secalonic acid)を含む。
 ウチキウメノキゴケ Myelochroa irrugans は表面が平滑。粉芽や裂芽をつけない。裂片の湾入部にシリアをつける。髄層は白淡黄色~黄色。
 コナウチキウメノキゴケ Myelochroa aurulenta はウチキウメノキゴケによく似て、淡緑色~青色を帯びた灰色、 直径4~10㎝、裂片は幅2~4㎜。中央部では小じわがあり、粉芽がある。粉芽は粉質~顆粒状、粗いパスチュールやソラリア(粉芽塊)から出る。裂芽はない。子器は稀につき、直径2~5㎜。皮層:K+黄色, C-, KC-, P-、髄層:K- C-, KC-, P-。皮層にアトラノリン、クロロアトラノリン、メサコン酸Aを含み、髄層にゼオリン、leucotylin、メサコン酸Aを含む。
 コナヒメウメノキゴケ Parmelinopsis spumosa は直径2~6㎝。裂片は幅0.5~2㎜。シリアは明瞭につき、長さ約0.5㎜、ほぼ単一。背面は淡灰色~淡緑灰色、平坦、光沢があり、マキラはなく、平滑、密にパスチュールをつけ、粉芽状になる。髄層は白色、部分的に淡黄色になることがある。腹面は黒色、平滑、光沢がある。偽根は長さ0.1~0.2㎜、黒色、単一又は2叉。皮層:K+黄色 , 髄層:K- , C+紅紫色 , KC+赤色 , P-。
 ヒカゲウチキウメノキゴケ Myelochroa leucotylizaは関東地方以西の低地に広く分布し、よく似ている。地衣体は直径3~7㎝、裂片は幅1~4㎜。背面にパスチュールがつくが粉芽状にならない。裂芽はない。髄層は白色~淡黄色。腹面は黒色、縁が褐色。偽根は黒色。子器は見られない。スポットテスト 皮層:K+黄色, C-, KC-, P- 髄層:K+淡黄色 C-, KC-, P-。アトラノリン、ゼオリン、leucotylin、メサコン酸Aを含む。
[分類] 子嚢地衣類(Ascolichens)
[生育形] 葉状地衣
[大きさ] 直径 3~10㎝
[生育場所] 樹皮、岩上
[分布] 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア
[撮影] 新城市   14.5.13
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