学名はDryopteris sabaei とDryopteris sabae の2つが使われている。どちらが正しいのか不明。神奈川県植物誌はsabaei、YListはsabaeを採用している。
根茎は短く、斜上し、葉は叢生する。葉柄は長さ15~25㎝、褐色で、基部は紫褐色。葉柄基部の鱗片は密生し、卵形~広披針形、褐色~暗褐色、膜質。葉は草質、鮮やかな緑色で、葉脈がくぼむ。胞子葉が長く、やや2形となる。葉身は長さ35~45㎝、幅15~25㎝の卵状長楕円形~広卵形、2回羽状複生~3回羽状深裂、下部の羽片には柄がある。最下部の下向き第1小羽片が長い。羽片の間隔が広いのが特徴である。小羽片は卵状長楕円形で、浅裂~深裂し、鋭鋸歯。ソーラスは葉の上半分だけにつき、小羽片の中肋寄りにつき、ソーラスのつく部分はやや縮小する。包膜は円腎形、全縁。2n=82(2倍体)
ナガバノイタチシダ Dryopteris sparsa は葉柄基部の鱗片が淡褐色、中軸は鱗片がない。最下羽片の下向き第1小羽片は幅広く大きい。小羽片は鋸歯縁。ソーラスは中間~中肋寄りにつき、包膜は全縁、若い白色の包膜の表面に腺毛がある。
ヒメイタチシダ Dryopteris sacrosancta は葉柄基部の鱗片が黒色。ソーラスは中間~縁寄りにつく。包膜は全縁~微細不整歯。