北半球に広く分布し、地衣体は粉芽があり、穿孔は平坦。
地衣体は葉状、背面が灰白色~灰緑色。葉状体は直径2~4㎝、10㎝以上になることもある。裂片は幅1~2㎜、平滑、先端部の縁は褐色を帯びる、背面に直径約1㎜の平坦な穿孔(穴)ができる。穿孔の縁や裂片の背に粉芽をつけ、裂片の先付近が筒状に膨らみ粉芽塊をつける。粉芽塊は半球状に盛り上がったものから周辺部が突出して歯牙状に分裂するものまで変異が多い。稀にしか子器はつかない。子器はレカノラ型、直径1~4㎜。盤は栗色。胞子は無色、長さ50~70µm、幅30~36µm、惰円形。髄層は白色。腹面はしわがあり、黒褐色、縁は淡褐色。偽根はない。スポットテスト 皮層:K+黄色
,髄: K- , C+赤色, P+黄橙色 。二次代謝物質はアトラノリン、スチクチン酸、コンスチクチン酸、メネガチア酸を含む。
ヤマトクダチイ(コフキフクレセンシゴケ) Menegazzia nipponica は北海道から九州まで広く分布する日本固有種。穿孔が突出して、粉芽がある。アトラノリンとスチクチン酸を含む。
クダチイ(フクレセンシゴケ) Menegazzia anteforata(従来Menegazzia asahinae と呼ばれていたものが修正された。)は本州(青森県以南)、四国、九州、屋久島、台湾に分布する。粉芽を欠き、穿孔が突出する。アトラノリンとスチクチン酸を含む。ヤマトクダチイに形態、成分とも一致し、粉芽がないことだけが異なる。
フクレセンシゴケ Menegazzia asahinae (従来Menegazzia pedicellata)は日本固有種、天城山系と富士山周辺で採集されている。クダチイに酷似するが、髄層にアトラノリンとカペラート酸を含む。
ツブクダチイ Menegazzia caviisidia は本州 (栃木県~和歌山県)、台湾に分布し、ツガ、ゴヨウマツ、タイワンマツなどの針葉樹に着生する。地衣体は淡黄緑色、裂芽がある。
穿孔がまばらで突出する。アトラノリン、タムノール酸を含む。 ウスキクダチイ Menegazzia squamatica は本州(福島県、埼玉県、富山県、長野県)に分布する日本固有種。ツガの樹幹に着生すると考えられている。ツブクダチイに酷似するが、アトラノリン、スクワマート酸を含む。
ナメラクダチイ Menegazzia primaria は北海道、本州、四国、九州、朝鮮、台湾に分布する。地衣体は濃緑色、粉芽を欠き、穿孔は平坦。
裂片は密に重なり合い、表面は凸面。子器はまれ。粉子器は多数。アトラノリン、スチクチン酸を含む。台湾に分布する Menegazzia pseudocyphellata
は子器周辺に偽盃点や亀裂を生じるが、 これらの形質は変異が大きいとして、ナメラクダチイに含める見解がある。
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