日本に産する皮層が赤色になるサルオガセ類はUsnea rubrotinctaとUsnea rubicundaの2種がある。
アカサルオガセ(アカヒゲゴケモドキ)Usnea rubrotincta は樹皮着生、はじめ直立し、長くなると垂れ下がる。長さ3~10(20)㎝、分枝の直径1.5㎜以下。E型分枝(
サルオガセ類の分枝型)、軸は中実、表面は緑色~黄色を帯び、ところどころ赤色になる。皮層は厚く、赤色の色素を含む。髄層は白色。小さな点状~針状の粉芽(isidiomorphs)が多く、顆粒状の粉芽を欠く。皮層の厚さは半径の13~18%。中軸は半径の46~47%
。スポットテスト皮層:.K-, C-, KC-, P-.。髄層:K+黄色→橙色, C-, KC-, P+橙色。二次代謝物質はウスニン酸、サラチン酸、ノルスチクチン酸を含む。異なるケモタイプがあり、K+赤色,
P+橙色であり、サラチン酸、ノルスチクチン酸を含み、ウスニン酸を欠くものが確認されている。
アカヒゲゴケ(アカサルオガセモドキ)Usnea rubicunda は東アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、南北アメリカに分布する。樹皮着生まれに岩上着生。長さ3~15㎝、D型分枝。表面が赤色を帯び、点状~針状のソラリアが多い。皮層は9~13%。髄層は白色。K+黄色ゆっくり橙色に変わる,
C-, KC-, P+橙色。スチクチン酸 (major), ノルスチクチン酸 (±minor), ± コンスチクト酸 (±minor), cryptostictic
acid(±minor), menegazziaic acid(±minor ) .を含む。