アラゲヒメワラビの変種とする見解が普通である。トウヒメワラビとヒメワラビを同一とする見解もあり、Flora of china では学名をThelypteris
oligophlebia としている。しかし、ヒメワラビは両面に毛があり、区別される。
根茎はごく短く叢生する。葉柄は長さ30~70㎝、わら色、基部の鱗片は大きく、披針形、茶褐色、辺毛がある。葉身は黄緑色、草質、長さ30~90㎝、幅30~60㎝の三角状卵形、3回羽状深裂~複葉。羽片は柄があり、中軸に対し、斜上する。小羽片は披針形、柄がなく、基部が広い楔形、裂片の基部が流れて狭い翼となる。葉脈は裂片の縁に届かない。葉の両面に単細胞~多細胞の白毛がまばらにあり、葉裏や軸には短い腺毛もある。ソーラスは葉の裂片と小羽軸との中間につき、包膜は小さい円腎形、辺縁にわずかに毛がある。2n=62(2倍体),
124(4倍体)
アラゲヒメワラビ var. torresiana は本州(伊豆諸島)、四国(南部)、九州(西南部)、沖縄、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、マダガスカル、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋諸島に分布する。葉身も大きく、葉裏の毛は多細胞であり、毛の長さはヒメワラビよりも長い。中国名は普通针毛蕨
(pu tong zhen mao jue) 2n=124(4倍体),186(6倍体)
トウヒメワラビ Macrothelypteris oligophlebia var. oligophlebia は羽片の両面に毛がない。その変種
var. elegans は羽片の腹面に単細胞の毛がある。
ミドリヒメワラビ Thelypteris viridifrons は葉が鮮緑色で、小羽片の基部が切形で、短い柄がある。2n=122