きのこ図鑑
■草樹類検索 ■シダ類検索 ■コケ類検索 ■地衣類検索
TOP きのこ一覧 きのこ用語 日本語-英語 英語-日本語
  センボンイチメガサ  千本市女笠
別  名 ナメスギタケ
中 国 名 毛柄库恩菌 mao bing ku en jun
学  名 Kuehneromyces mutabilis (Schaeff.) Singer et A.H. Sm.
Pholiota mutabilis (Schaeff.) P. Kumm.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 モエギタケ科  Strophariaceae  センボンイチメガサ属
 現在ではセンボンイチメガサ属Kuehneromyces とするのが正しいとされ、Mycobankでも採用しているが、スギタケ属のPholiota mutabilisとされることも多い。世界に広く分布するが、北アメリカのものは傘が大きく、柄が太い。
 子実体は広葉樹又は針葉樹の材上に束生(まれに単生)、群生し、、春、夏、秋(温かい気候では冬も)に見られる。傘は直径1.5~3(2~6又は16)㎝、丸山形~中高扁平~扁平、初め微細な鱗片があるが、後に消失し、湿時、弱粘性、吸水性が強く、黄褐色~茶褐色、乾燥時は中央から黄土色~淡茶色になり、条線が消える。ひだは直生、密、初め汚白色、後にニッケイ色になる。柄は中空、長さ4~12㎝、幅2~4(5~8又は約15)㎜、上下同径、上部につばがある。つばは膜質~繊維質。柄の表面はつばより上は白色微粉状、つばより下は黄色地に黄褐色~暗褐色の小鱗片がささくれ状に密生し、下部ほど濃い。肉は白色~表面色、無味、無臭。胞子は平滑、長さ5.5~7.5µm、幅4~5µm 、厚さ3.5~4.5µm、正面から見ると卵形、側面からは凸平レンズ形、発芽孔は切形。縁シスチジアは無色、長さ19~34µm、幅5~7µm 、便腹形~紡錘形。側シスチジアは無い。傘上皮層は平行菌糸被。クランプがある。
 可食となっているが、猛毒のヒメアジロガサやコレラタケなど酷似したものが多く、食すのは避けた方がよい。センボンイチメガサの胞子は平滑であり、ヒメアジロガサとコレラタケの胞子は表面がいぼ状。
センボンイチメガサ
センボンイチメガサ2
センボンイチメガサ胞子
センボンイチメガサ傘
センボンイチメガサひだ
センボンイチメガサひだ2
センボンイチメガサ柄
発生時期 春~秋
大 き さ 小型 直径1~3(5)㎝
栄養摂取 腐生菌
発生場所 広葉樹、針葉樹の枯れた切株、枯木
分  布 世界的に広く分布
食  毒 可食(猛毒のヒメアジロガサ、コレラタケに酷似し間違えやすい)
撮  影 岡崎市  16.10.17
 ヒメアジロガサGalerina marginata は猛毒のアマトキシン類を含む。センボンイチメガサと発生場所もよく似ている。
 広葉樹や針葉樹の朽木の白色腐朽菌。普通、束生、たまに群生、単生する。春と秋に多いが、通年、見られる。傘は直径1.5~5㎝、まれに8㎝以下になり、初め饅頭形、後に広饅頭形~近扁平、ときに鐘形になる。新鮮なときや湿ったときに粘性があり、乾くと、微粘性~乾性、無毛、初めにハニーイエローでオレンジ色の色調を持ち、その後、シナモン色~褐橙色になり、しばしば、乾燥すると著しく色あせ、2トーンになる。縁は幼時、帯白色の内被膜の残片がときにつき、普通、成熟すると取れて、細かい条線が見える。ひだは広く直生又はやや垂生、やや密~ほぼ疎、短ひだが多く、初め黄色、やがて、成熟した胞子で銹褐色~帯褐色になる。傷ついても変色しないが、ときに、古くなると、斑点が現れる。初めは白色の内被膜に被われる。柄は長さ2~7.5㎝、幅3~8㎜、上下同径、乾き、無毛、又は新鮮で若いときは帯白色の小繊維によりまだらになり、普通、細く、帯白色~銹褐色。つばはくずれた腕輪のような輪になり、ときに環帯だけとなり、又は全く無くなる。帯白色~帯褐色は基部の上から暗褐色~赤褐色に変わり、基部に白色のミセリウムがある。肉はごくわずかで、帯黄色~淡い帯褐色、切口は変色しない。無臭又はわずかに紛臭。傘表面はKOHにより鈍い赤色に変色し、アンモニアや鉄イオンは無反応。胞子紋は銹褐色。胞子は長さ7~11µm、幅4~6µm 、広アーモンド形~類楕円形、いぼ状、KOH中で赤褐色、緩い胞子膜がある。担子器は普通、4小柄、たまに2小柄。縁シスチジアと側シスチジアは似ていて、長さ40~65µm、幅5~15µm、フラスコ形、先は長い首と 球形又は類棍棒形になり、平滑、薄壁、KOH中で無色。傘上皮層はゼラチン化した平行菌糸被。クランプがある。
 コレラタケ(ドクアジロガサ)Galerina fasciculata は猛毒である。日本に分布し、林内のスギなどの朽木、切株、古いおが屑などに秋、単生~群生する。傘は直径2~3(5)㎝、饅頭形~中丘扁平~扁平、表面は暗ニッケイ色、乾くと中央部から明淡黄色になり、淡茶褐色、湿ると縁に条線が表出する。柄は細長く中空、長さ6~9㎝、幅2.5~4㎜、上下同径、上部に不完全な膜質のつばがあり、表面は淡黄土色~淡粘土色。。ひだは直生~やや垂生、密~やや疎、茶褐色。胞子紋はニッケイ色(茶褐色)。胞子は褐色、卵形、長さ6.5~8(8.5)µm、幅 4~5µm、片側がやや尖り、表面に微細な疣状の突起がある。担子器は4胞子性、長さ18~23µm、幅 6~7.5µm。縁シスチジアは多数あり、有頭のフラスコ形、長さ20~40µm、幅 5.5~9.5µm。頭部は幅3~4µm。側シスチジアはない。
TOP Back