きのこ図鑑
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 クリイロニガイグチ  栗色苦猪口
別  名 ウラジロニガイグチ
学  名 Tylopilus castanoides Har. Takah.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 イグチ目(Boletales)
科  属 イグチ科  Boletaceae  ニガイグチ属
 ニガイグチ属は柄が中実。肉が類白色、普通苦いが、苦くないもの(アケボノアワタケ、ウラグロニガイグチ、キニガイグチ、チャニガイグチ、ブドウニガイグチ、ブドウニガイグチモドキ、ホオベニシロアシイグチ、ミドリニガイグチ、モエギアミアシイグチなど)も多い。管孔面は白色~淡紫褐色(ウラグロニガイグチ)~淡灰黄色(モエギアミアシイグチ)、成熟すると淡紅色~褐色など。傷つけると傷口は淡紅色~帯褐色に変色又は変色性ないもの(アケボノアワタケ、ウラグロニガイグチ、オクヤマニガイグチ、ニガイグチ、ニガイグチモドキ、ヌメリニガイグチ、ブドウニガイグチモドキ、ホオベニシロアシイグチ、ミドリニガイグチなど)も多い。クリイロニガイグチとフモトニガイグチはよく似ており、フモトニガイグチは湿時弱粘性、柄が上下同径~下部細く、表面に細い縦じわが密にある。管孔や肉の赤変性がやや強い。縁シスチジアがクリイロニガイグチより大きい。
 クリイロニガイグチTylopilus castanoidesは単成又は散生する。傘は直径3~6(8)㎝、半球形~饅頭形~中央がやや窪んだ低饅頭形、表面は栗褐色、粘性無く、微毛状。管孔面は白色、後に老菌では淡赤褐色を帯びる。管孔は直生~上生、管孔長は4~15㎜。孔口は類円形、2~3個/㎜、傷つけても変色しない。柄は長さ5~9(11)㎝、幅0.7~1.2(1.7)㎝、中実、逆棍棒形、先端尖り、表面は傘と同色~やや淡色、浅い条溝があり、網目は無い。肉は白色、やや厚く、切断面は徐々に淡赤色に変色する。味は幼菌では苦く、成菌では無味のものもあり、温和臭。胞子紋は淡赤褐色。胞子は長さ9~11(13)µm、幅3.5~4(4.5)µm、類紡錘形、KOH中で淡黄色。縁シスチジアは長さ13~31µm、幅4~7µm、類棍棒形~円柱形~紡錘形。側シスチジアは長さ30~45µm、幅6~13µm、フラスコ形~紡錘形、先端伸長。柄シスチジアは長さ25~45µm、幅5~8µm、棍棒形~類棍棒形~円柱形、多少くびれや結晶がつく。傘シスチジアは長さ26~50µm、幅4~9µm、円柱形、やや屈曲ある。傘上表皮は錯綜被、菌糸の先端がシスチジア状、直立する。
 フモトニガイグチTylopilus alutaceoumbrinus は単生~群生する。傘は直径3~7㎝、半球形~饅頭形、湿時弱粘性、暗赤褐色~後に淡褐色、ときに辺縁が淡色になり、ビロード状。管孔面は乳白色~淡紅褐色。管孔は上生ときに直生、管孔長は4~7㎜、孔口は小円形、傷つけるとわずかに濃色に変わる。柄は長さ5~9㎝、幅0.5~1.5㎝、中実、上下同径又は中位で太く、ときに下部が細くなり、表面は淡黄色地に傘と同色~淡色の条線及び細い縦じわが密にあり、網目は無く、基部は白色。胞子紋は淡紅褐色。胞子は長さ8.5~11(15)µm、幅3~3.5(4)µm、長楕円形、平滑。縁シスチジアは長さ21~47µm、幅6~13µm、棍棒形~紡錘形、先端伸長も混じる。側シスチジアは長さ30~67µm、幅5~15µm、フラスコ形~円柱形~紡錘形。柄シスチジアは長さ25~61µm、幅6.5~12µm、棍棒形~フラスコ形。
 チャニガイグチTylopilus ferrugineus傘は直径(4)6~14㎝、枕(クッション)形~饅頭形、ときに不規則になり、暗褐色~褐色、縁に黄ばみがあり、粘着性はない。表面は幼時、微細な綿毛状、ときに平滑状、古くなるとひび割れ状になる。傘の表面はアンモニアにより赤褐色~黒褐色になる。肉は白色、弱い渋味と甘味があり、温和臭、傷つけるとピンク色を帯びた榛色(はしばみいろ=淡褐色)~褐色になる。管孔面は幼時、白色、ときに帯褐色~褐色のしみがつき、傷つくとすぐに褐黄土色~褐色になる。孔口は多角形、幅0.5~1㎜。管孔は長さ6~13㎜、直生~やや垂生~離生する。柄は長さ6~9㎝、幅1~1.7㎝、中実、類円柱形~先細、傘と同色~下部より上部は淡色、先から下方へ柄の長さの2/3まで網目がある。網は白色~榛色、網目は縦に長い。胞子紋はシナモン褐色(淡褐色)。胞子は長さ(8)9~13µm、幅(3)4.5~5.5µm、惰円形~類紡錘形、非アミロイド、ときにデキストリノイド。坦子器は長さ34~42µm、幅11~13µm、棍棒形、小梗は2~4個、長さ5~6µm。側・縁シスチジアは長さ25~65µm、幅5~14µm、片側が膨れた紡錘形などで、KOH中で無色又は黄色。菌糸にクランプは無い。管孔の実質は左右相称型。傘上皮層は織り合わされた菌糸の毛状被であり、柵状にならず(日本産は柵状被ともいわれる)、末端菌糸と下部の菌糸は幅4.5~9µmの円筒形。
 クリイロイグチ属も外観は似ている。柄が中空~髄状。肉は苦味が無く、変色性が無い。胞子紋が淡黄色。
 クリイロイグチGyroporus castaneus は単生~群生する。傘は直径4~7㎝、半球形~饅頭形、粘性なく乾き、栗褐色~汚褐色、繊維状鱗片が圧着し、フェルト状。古くなると周縁が放射状に裂開することもある。管孔面は白色、古くなると鈍い黄色、傷つけても変色性が無い。管孔は上生、管孔長は2~5(8)㎜以下。孔口は円形、小さく、1~3個/㎜。柄は長さ4.5~6㎝、幅0.8~2㎝、髄状~中空、上下同径~やや逆棍棒形、表面はやや硬く、傘と同色~やや淡色、平滑、傷つけても変色しないか又はゆっくり褐色を帯び、網目は無い。肉は白色、軟質、表面色を帯びる。無味、無臭。胞子紋は淡黄色。胞子はソラマメ形、長さ7.5~10.5(11.3)µm、幅4.5~6(6.5)µm、平滑。縁シスチジアは長さ19~44µm、幅5~16µm、紡錘形~棍棒形、先端伸長するものあり。傘上表皮は傘シスチジアが多数あり、周縁方向に伏せるか又は直立する。
 クリイロイグチモドキGyroporus longicystidiatus やや大きく、少数、群生する。傘は直径7~8.5㎝、半球形~饅頭形~ほぼ扁平、縁がやや反転し、波打ち、表面は(栗褐色~)ニッケイ色、粘性無く乾き、微毛状。管孔面は白色。管孔は上生、管孔長は約5㎜。孔口は円形、小さい。柄は長さ6~8㎝、幅1~1.5㎝、髄状~中空、上下同径~やや逆棍棒形、表面はやや硬く、傘と同色~やや淡色、不規則な小じわがあり、やや逆毛がある。肉は白色、軟質、表層はやや硬く、表面色を帯びる。無味、無臭。胞子紋は淡黄色。胞子はソラマメ形、長さ(6.8)7~9.5(10.4)µm、幅(4.2)4.5~5.5(6.5)µm、平滑。縁シスチジアは長さ27~120µm、幅6~18µm、紡錘形、先端伸長。傘上表皮は傘シスチジアが多数あり、周縁方向に伏せる。傘シスチジアは長さ約80µm、幅約10µm程度。
 ビロードクリイグチ 小型で単生する。傘は直径1.5~4㎝、半球形~饅頭形~ほぼ扁平、表面は栗褐色、粘性無く乾き、微毛に覆われビロード状、成熟すると次第に縁が淡色化、表皮が細点状に細裂する。管孔面は白色。管孔は上生、管孔長は2~5㎜。孔口は円形、小さい。柄は長さ2~4.5㎝、幅0.2~0.7㎝、髄状~中空、逆棍棒形~上下同径、表面は傘と同色、同質。肉は白色、表層はやや硬く、表面色を帯びる。無味、無臭。胞子紋は淡黄色。胞子はソラマメ形、長さ8~9.5(11)µm、幅4.5~6.5µm、平滑。縁シスチジアは長さ20~42µm、幅5~15.5µm、紡錘形、ときに結晶物がある。傘上表皮は菌糸がほぼ垂直の柵状毛状被。
クリイロニガイグチ
クリイロニガイグチ横
発生時期 夏~秋
大 き さ 小型~中型(大型) 直径3~6(8)㎝
栄養摂取 菌根菌
発生場所 アカマツ、コナラ、シデ林及びその混交林下の地上
分  布 日本
食  毒 不食
撮  影 浜松市 16.10.4
クリイロニガイグチチ傘
クリイロニガイグチ管孔
クリイロニガイグチ柄
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