きのこ図鑑
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 ハリガネオチバタケ  針金落葉茸
別  名 チャハリガネオチバタケ
中 国 名 琥珀小皮伞 hu po xiao pi san
英  名 orange pinwheel
学  名 Marasmius siccus (Schw.) Fr.
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 ホウライタケ科  Marasmiaceae  ホウライタケ属
 里山の落葉上でよく見られる。ひだの縁が明徴に褐色になり、ハナオチバタケとは異なり、ハリガネオチバタケとした。
 夏~秋に広葉樹林(稀に針葉樹林)の腐葉上に散生~群生する。傘は直径5~30㎜、半球形~鐘形~クッション形、中央は盛り上がるものから凹むものまであり、明瞭なひだ状のしわがあり、平滑~わずかに粗、乾き、無毛、新鮮なときにオレンジ色、古くなると淡褐色に退色する。ひだは直生~離生、ごく粗、白色~淡黄色。柄は長さ2.5~6.5㎝、幅約1㎜、上下同径、乾き、針金状、上部は帯白色~帯黄色、下部は褐色になり、基部に近いほど濃色になる、基部の菌糸体は白色。肉は質が薄く、無臭、味は温和又はわずかに苦い。KOHによる傘表面の変色性は無い。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ15~23.5µm、幅2.5~5µm、紡錘形~円筒形~棍棒形、平滑、非アミロイド。側シスチジアは長さ約70µm、幅約15µm、紡錘形~紡錘状腹便形。縁シスチジアは薄壁、偽アミロイド、箒状細胞。傘上表皮層は子実層状被であり、偽アミロイドの箒状細胞がある。
ハリガネオチバタケ
ハリガネオチバタケ2
ハリガネオチバタケ柄
ハリガネオチバタケ傘
ハリガネオチバタケひだ
ハリガネオチバタケ柄の基部
発生時期 夏~秋
大 き さ 小型 直径3~8(10)㎜
栄養摂取 腐生菌
発生場所 広葉樹林(稀に針葉樹林)の腐葉上
分  布 日本、中国、北アメリカ
食  毒 不明
撮  影 豊田市 05.10.16
類似種
ホウライタケ属 Marasmius】
 世界の熱帯~亜熱帯に約500種が知られる。普通、腐生菌であり、材上生または葉上生、しばしばイネ科など草本の根や葉に発生する。子実体はホウライタケ型、モリノカレバタケ型、ときにヒラタケ型。普通、強靭、吸水復元性がある。①柄は光沢のある黒色剛毛状、基部は無毛。しばしば黒色根状菌糸束を有し、菌糸束状柄(telepods)が存在することもある。②肉はときにニンニク臭がある。子実層托はひだ状、まれに平滑~脈状、老成時のみひだ状、ときに脈絡がある。実質全体または③少なくとも柄の実質が偽アミロイド。傘の実質は1菌糸型、偽アミロイド又は非アミロイド、非ゼラチン質、菌糸は普通、クランプを持つ。 胞子は非アミロイド。➃ひだの縁及び傘の上表皮層に箒状細胞が存在する。傘上表皮層はラメアレス構造からなる平行菌糸被。

<傘が褐色~淡褐色> 傘径の小さい順
 4 ヒメホウライタケ Marasmius curreyi Berk et Broome 世界に広く分布。夏~秋、イネ科の植物の枯れた稈上にごく稀に発生。傘は直径4~8(15)㎜、饅頭形~広饅頭形、古くなると扁平、放射状の溝条があり、中央がつぶれるか又は窪み、縁は初め内巻きし、その後、湾曲し、やがて持ち上がり、ときに波打つ。傘表面は拡大してみると細かい綿毛状、銹褐色(rust-brown)、その後、橙色~ピンキッシュ・タン色~淡タン色。肉は膜質、クリーム色。臭いと味は温和。ひだは極疎、離生、襟帯があり、クリーム色、比較的広く、幅2㎜以下、縁はたまに傘と同色の縁取りがある。柄は中空、長さ1.5~3㎝、幅1㎜以下、糸状、ほぼ上下同径、無毛、黒褐色、上部は白色、基部はわずかに膨れ、短い黒色の根毛により基物につく。胞子は長さ9~12µm、幅4~5µm、上面から見て楕円形~長楕円形、扁平、薄壁、無色、液胞があり、非アミロイド。
 5 クロチャオチバタケ Marasmius nocturnus Har. Takah. 日本(本州中部)に分布する。夏~秋に林内の広葉樹(スダジイなど)の落葉堆積上に発生、やや稀。傘は直径8~11㎜、饅頭形~扁平。傘表面は粘性は無く、ビロード状中央に細かいしわがあり、暗褐色、縁に浅い溝線がある。肉は傘部分は薄く、淡褐色、変色性はなく、無味、無臭。ひだは上生、疎(柄に届くもの15~18個)、小ひだがあり、縁は平滑、暗褐色の縁取りがある。柄は中空、長さ4~5㎝、幅0.8~1㎜、針金状、平滑、上部は白色、下部は暗褐色を帯び、基部に白色~淡褐色の長毛が密生する。胞子紋は白色。胞子は長さ10.2~12.4µm 、幅3~5.1µm(長さ8.7~12.4µm 、幅3.4~4.6µm)、瓜種形~紡錘形、無色、平滑、薄壁、非アミロイド。担子器は長さ16~27µm 、幅4~6µm、棍棒形、4胞子性。縁シスチジアは突起を除き、長さ14~19µm 、幅6~8µm、箒状、淡褐色、突起は長さ5~7µm。側シスチジアは長さ25~47µm 、幅5~7µm、棍棒形~円柱形、多少屈曲があり、ときに先端に小突起があり、無色、薄壁。傘表皮細胞は突起を除き長さ14~22µm 、幅5~7µm、突起は長さ4~6µm、薄壁、縁シスチジアに類似し、褐色の箒状の突起がある(剛毛体様上皮シスチジア)。柄の表面の菌糸は縦に並び褐色、柄シスチジアは無い(剛毛体様上皮シスチジアがあるともいわれる)。上皮シスチジアは顕著な微毛状~粉状~長毛状に見える。ひだ実質の菌糸は並列型。傘菌糸に多くはないがクランプがある。(参考:入生多菌類資料026)
 6 ヒメオチバタケ Marasmius pallidocephalus Gilliam 日本、北アメリカに分布する。夏~秋、針葉樹の落葉上に発生する。傘径2~14㎜(標準は4㎜)、淡褐色~淡黄褐色、中央部は暗褐色。ひだは直生、やや疎、幅は狭い~広い、襟帯は無く、クリーム色。柄は長さ12~43㎜(標準は25㎜) 、幅 0.2~0.8㎜(標準は0.5㎜)、先細~上下同径、無毛、光沢があり、黒色。胞子は長さ6.8~9.6µm、幅3.2~4.2µm、楕円形、無色、平滑、非アミロイド。担子器は長さ21~24µm、幅5~7µm、4胞子性、棍棒形。バシジオールは類棍棒形~紡錘形。側シスチジアは無い。縁シスチジアも無い。傘上表皮は子実層状ではなく、ラメアレス構造であり、匍匐性、やや直立~直立の箒(ほうき)状細胞を持つ。菌糸は幅3~6µm、織り合わされ、垂直側分枝形、いくらか滑らかで、プラーク状の環状の褐色色素外被が多数あり、壁はほぼ無色~淡褐色、非アミロイド、薄壁~厚さ1µmの壁、クランプは無く、垂直側分枝は長さ1.5~6µm、幅1.5~3.5µm、外形は取っ手状~不規則、鈍形、ときに分枝する。末端細胞は長さ8~32µm、幅6~16µm、棍棒形、外形は類小嚢形~不規則、分裂又は垂直側分枝形、薄壁~厚壁。傘の実質は織り合わされる。ひだの実質は規則的、菌糸は直径2.5~8µm、円柱形、平滑又は顆粒状の褐色の色素が皮下に覆われ、ゼラチン化せず、無色、非アミロイド、薄壁又は堅い壁であり、クランプは無い。 柄の組織は1菌糸型、皮層の菌糸は直径2.5~5µm、平行、円柱形、暗黄土色~暗褐色、顆粒状又は環状の色素で覆われ、強く、デキストリノイド、クランプは無く、壁は厚さ1µm以下。髄の菌糸は直径2~9.5µm、平行、無色~淡黄色、非アミロイド又は弱くデキストリノイド、クランプは無く、壁は厚さ1µm以下。柄は被覆物が無い。
 オチバタケに似るが, 幼菌の傘はより淡色、褐色~黄褐色、縁シスチジアを欠き、柄表皮の菌糸に被覆物がある。
 7 ケアシハイイロタケMycena lanuginosa Har. Takah 日本に分布する。コナラ属主体の林内の落葉、落枝上に発生。オランダから報告されたM.pilosella及び欧州に広く分布するM.zephirusに近縁。傘は直径7~11㎜、円錐形~饅頭形~鐘形、明瞭な中心まで伸びる放射状の溝があり、乾き、やや吸水性。傘表面は初め白紛状、すぐに平滑になり、中央が暗褐色、徐々に赤褐色になり、やがて縁が白色近くなる。肉は白色、厚さ5㎜以下。無味、無臭。柄は長さ3~6㎝、幅0.8~1.3㎜、上下同径、中空、乾性、中心生。柄の頂部は白紛状、基部近くの表面は柔らかい、細かい毛で覆われ、頂部近くは灰褐色~赤褐色、基部は赤褐色。柄の基部は長い粗い白色の繊維で覆われる。ひだは直生、茎に狭くつき、疎、(茎に届くひだは12~18)、幅1.5㎜以下、薄く、帯白色、縁も同色。胞子はほぼ楕円形、長さ10~12µm、幅5.5~6.5µm、平滑、無色、アミロイド。担子器は4胞子性。
 8 スジオチバタケ Marasmius purpureostriatus Hongo 日本(本州)に分布。春~夏、広葉樹林の落葉、落枝に発生。シバフタケ節、実質が偽アミロイド。傘は直径1~2.5㎝、鐘形~低円錐形、表面は乾き、淡黄褐色~淡黄色、明瞭な深い帯褐紫色の溝条がある。柄は長さ3~11㎝、幅1~2㎜、上下同径~下部やや太く、中空、表面は橙黄色~褐黄色、繊維質、粗毛が密生する。ひだは離生、疎、黄白色、幅2~4㎜。肉は質が極薄く、白色、傘中央の肉は帯黄土色、無味、無臭。胞子は大きな棍棒形、長さ22.5~30µm、幅5~7µm。縁シスチジアは長さ12~26µm、幅7.5~14.5µm、小嚢形~棍棒形。側シスチジアは長さ34~53µm、幅7~12µm、棍棒形、先が伸長~尖るものが多い。
 9 オノエホウライタケ Marasmius shideiae Sing. 京都新産。ハチク、モウソウチクの林内に発生する。傘は直径 27㎜以下、平滑,、淡黄褐色、乾くと中央から退色し、ほぼ白色になる。柄は長さ2.6~8㎝、幅1~2㎜、セピア色、微粉状。ひだは縁と側部に傘表皮と同じ箒状細胞がある。柄表面は長さ20µmに達する叉状に分岐した突起のある細胞が多数存在する。
 10 モリノホウライタケ(チャシバフタケ=シロシバフタケ) Marasmius silvicola シバフタケ節、実質が偽アミロイド 日本 (神奈川、 千葉)、アルゼンチン、ニューギニア,に分布。.アミガサホウライタケに似る。胞子紋は白色。子実体の色はより淡色 (ほぼ白色~淡黄褐色) 。子実体の類型はオオホウライタケに近い。日本産については確実な標本に基づく正確な記載発表がまだない。
 11 シワホウライタケ Marasmius leveilleanus 日本、スリランカ、マレーシア、新熱帯地域(メキシコ、コスタリカ)などに分布。夏に落枝、落葉、木質堆積物に発生する。傘は直径1~3㎝、初め鐘形~半円形、後に饅頭形~扁平(Original descriptionでは強く中心突起があり)、放射状の溝線があり、中央がやや凹む。傘表面は新鮮なときは暗赤褐色~明栗褐色、無毛、光沢は無い。柄は長さ3.5~8㎝、幅0.5~1㎜、中空、質堅く、暗褐色~黒褐色、頂部は淡色、平滑。ひだは疎、上生、白色~黄色(淡栗褐色)。胞子は長さ7.2~9.5µm、幅3.3~4µm、楕円形、平滑。(Ovrebo, C.L. (1996). The agaric flora (Agaricales) of La Selva Biological Station, Costa Rica. – In: Fungi of Costa Rica: selected studies on biodiversity and ecology (eds. J. Carranza and M. Mueller). Revista de Biologia Tropical: 39-57.)
 12 シバフタケ(ワヒダタケ) Marasmius oreades (Bolt.) Fr. シバフタケ節、実質が偽アミロイド。北半球に広く分布。夏~秋に芝生、草地に発生する。傘は直径1~5㎝、初め鐘形、縁がやや内巻きし、その後、広饅頭形、縁は平坦~上向き、しばしば、わずかに中心突起(bump)が残る。傘表面は無毛、淡タン色~バフ色、たまに白色~赤タン色、普通、乾ききると、著しく変色し、ときに、縁にかすかな条線が出る。ひだは直生~離生、やや疎、白色~淡タン色。柄は長さ2~8㎝、幅1.5~6㎜、上下同径、乾き強靱、しなやか、帯白色~傘と同色、平滑。肉は強靱、帯白色、無味無臭。胞子紋は白色。胞子は長さ7~10µm、幅4~6µm、紡錘状楕円形、平滑、非アミロイド。シスチジアは無い。傘上表皮は子実層状被。末端の要素菌糸は棍棒形~洋ナシ形~円柱形~やや不規則、無色~帯黄色。
 13 アミガサホウライタケ(モリノホウライタケ, シロシバフタケ, チャシバフタケ)Marasmius brunneospermus Har.Takah 日本、朝鮮に分布する。シバフタケ節、実質が偽アミロイド、子実体はナヨタケ型。傘径15~50㎜、湿時、褐色, 乾くと淡褐色、饅頭形~中央部に不規則な網状のしわ~凹み、半透明の条線がある。柄は中空、淡褐色、粉状。柄の基部は白色の菌糸体がつき、落葉堆積に厚い菌糸マットをつくる。肉は質が脆い。

<傘が紅色~橙色~赤褐色>
 1 ハナオチバタケ Marasmius pulcherripes Peck: 日本、中国、台湾、北アメリカに分布する。夏~秋に針葉樹又は広葉樹の腐葉の上に発生する。傘は直径0.8~1.5㎝、鐘形~低い円錐形、放射状に深い溝条があり、中央に小突起がある。背面は乾燥し粘性なく、淡紅色(pink)~紫紅色~(pinkish brown)、ときに橙褐色(brownish orange)のものもある(褐色型)。柄は長さ3~8㎝、幅約1㎜、針金状、上部は淡色、下部は黒褐色~濃紫紅色、基部に白色を帯びた菌糸体がつく。ひだは疎に16~19個つき、直生~離生。肉はごく薄く、皮質、味はわずかに苦く、無臭。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ11~15.5µm、幅3.5~4µmの棍棒形、平滑。縁シスチジアは長さ9~13µm、幅4~7µmの箒状。傘シスチジアは長さ8~15µm、幅5~6µmの箒状。側シスチジアは長さ20~60µm、幅2~11µmの円柱形~棍棒形。
 2 カエンオチバタケ(カバイロオチバタケ) Marasmius opulentus Har. Takah. 日本(本州中部, 沖縄県石垣島)に分布する。)照葉樹林内の落葉堆積上に発生する。傘は直径 14~22㎜、饅頭形~ほぼ平開, 通常、中丘は無く、しばしば微細な皺があり、 周縁に微細な溝線を表出する、傘の背面は乾き、光沢は無く、細かいビロード状の毛が密生し、濃橙色、古くなるとやや退色する。.柄は長さ25~33㎜、幅0.8~1.5㎜、上下同径、中空、しばしば偏圧し、丈夫、表面は粉状~微毛状~ビロード状、 頂部白色、下部は下方ほど濃色、帯褐橙色~褐色~暗褐色、基部に白色の菌糸体がある。ひだは上生, やや疎~やや密 、白色、少し連絡脈がある。縁部は全縁、赤橙色~橙色に縁取られる。肉は質が薄く、類白色、無味、無臭。胞子紋は白色。胞子は長さ8~10µm、幅3.5~4µm、楕円形~アーモンド形、平滑、無色、 非アミ ロイド、薄壁~やや厚壁。 担子器は長さ22~25µm、幅5~7µm、棍棒形、4胞子性。縁シスチジアは群生し、側シスチジアは無い。
 3 ハリガネオチバタケ(チャハリガネオチバタケ) Marasmius siccus 日本、中国、北アメリカに分布する。夏~秋に広葉樹林(稀に針葉樹林)の腐葉上に散生~群生する。傘は直径5~30㎜、半球形~鐘形~クッション形、中央は盛り上がるものから凹むものまであり、明瞭なひだ状のしわがあり、平滑~わずかに粗、乾き、無毛、新鮮なときにオレンジ色、古くなると淡褐色に退色する。ひだは直生~離生、ごく粗、白色~淡黄色。柄は長さ2.5~6.5㎝、幅約1㎜、上下同径、乾き、針金状、上部は帯白色~帯黄色、下部は褐色になり、基部に近いほど濃色になる、基部の菌糸体は白色。肉は質が薄く、無臭、味は温和又はわずかに苦い。KOHによる傘表面の変色性は無い。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ15~23.5µm、幅2.5~5µm、紡錘形~円筒形~棍棒形、平滑、非アミロイド。側シスチジアは長さ約70µm、幅約15µm、紡錘形~紡錘状腹便形。縁シスチジアは薄壁、偽アミロイド、箒状細胞。傘上表皮層は子実層状被であり、偽アミロイドの箒状細胞がある。
 4 シワオチバタケ Marasmius glabellus Peck 日本、北アメリカに分布する。夏~秋、広葉樹の落葉に発生する。傘は直径5~25(4~15)㎜、饅頭形~広饅頭形、条線又は溝線があり、類ビロード状、傘の中央に小さい窪みがある。表面は黄褐色(暗銹色で淡色の線条がある)。ひだは上生、疎、幅広、襟帯無く、縁取りもなく、帯黄色、小ひだは1段。 柄は長さ1.5~5.8(2~5)㎝、幅0.75~1.8㎜(0.5~1㎜)、上下同径~基部がわずかに膨れ、無毛、光沢があり、上部は白色~帯黄色(わら色)、下部は暗褐色(黄褐色tawny)になり、根状菌糸束は無いが、白色~淡橙黄色(クリーム色)の菌糸体がある(non-insititious)。肉は臭いが温和なsperimatic。胞子は長さ7~12µm、幅3~6µm(長さ7.2~11.2µm、幅4~5.6µm)、ナシの種子形又は楕円形、側面からは不等辺、無色、非アミロイド平滑。担子器は長さ28~34µm、幅5.5~7.5µm、4胞子性、類棍棒形。バシジオールは円柱形~類棍棒形。側シスチジアは珍しく、長さ32~52µm、幅5~8µm、不規則な円柱形~紡錘形、ときに付属体があり、子実下層から生じ、バシジオールを越えて、16µm以下突き出し、弱く屈折又は屈折せず、無色、非アミロイド、薄壁。縁シスチジアは普通で、 ハリガネオチバタケ型 (Siccus-type)の傘上表皮層要素に似ている。主体は長さ10~20µm、幅5~8µm、円柱形~棍棒形~類含小嚢形、普通、無色、薄壁、まれに淡橙色、堅固な壁がある。先の小毛は長さ2~6µm、幅1~2µm、不規則な円柱形~円錐形、鈍形~類鋭形、中実、淡橙色~黄土色、色素の範囲は弱いデキストリノイド。傘の実質は織り合わされる。ひだの実質は規則的、菌糸は直径2.5~10µm、円柱形又は膨らみ、ゼラチン化せず、無色、弱くデキストリノイド、薄壁、クランプがある。柄の組織は1菌糸型、皮質の菌糸は直径2.5~5(8)µm、平行、円柱形、平滑、無色~淡黄色(柄の先)、又は黄土色(柄の基部)、強く、デキストリノイド、壁は厚さ1µm以下。髄の菌糸は似ているが、無色、薄壁。ミヤマオチバタケに似るが、子実層に剛毛がない。
 5 ヒカゲオチエダタケ(ヒカゲオチバタ) Marasmius occultatus Har. Takah.日本(中部 )に発生する。広葉樹(ムクノキ、シラカシ)中心の林内の落枝に発生する。傘は直径12~27㎜。初め、半球形、後に饅頭形~扁平、周縁に浅い溝線があり、乾き、光沢は無く、ビロ-ド状、成熟するとしばしば著しい白色粉状帯を表出し、帯褐橙色~褐色~淡褐色、中央部はやや暗色。肉は薄く、傘より淡色、無味、無臭。柄は長さ3~5㎝、幅0.8~1.3㎜、円柱形、中心生、強靱、中空。柄表面は光沢があり、平滑、 傘と同色、頂部は淡色、基部は白色の長剛毛状の菌糸体が密生する。ひだはやや離生~上生、やや疎~やや密 (柄に届くもの17~20個)、 白色、幅 2.5㎜、縁は平坦、縁取り無く、目立つ連絡脈は無い。胞子紋は白色。胞子は長さ14~16µm、幅3~4µm、狭棍棒形~円柱状紡錘形、平滑、無色、薄壁、非アミロイド。担子器は長さ23~32µm、幅6~8µm、棍棒形、4胞子性。偽担子器は紡錘形 ~紡錘状棍棒形。ひだの縁部は稔性、縁シスチジアはまれ、あれば傘の上表皮細胞に似るがより小型で無色。 側シスチジアは無い。子実層托実質は平列型~不規則型、菌糸は傘実質に似る。傘上表皮は子実層状被、細胞はハリガネオチバタケ型 (Siccus-type) 、付属糸を除く長さ27~34µm、幅7-11µm、棍棒形~不規則な形状、ときに裂け目を生じ、頂部に黄褐色の指状付属糸 (長さ2~7µm、幅0.8~1.5µm)が密生 し、細胞壁は黄褐色、厚さ 1µm以下、偽アミロイド。傘実質の菌糸は幅4~13µm、平列又は緩く錯綜し、類円柱形、しばしば肥大し、無色、薄壁、偽アミロイド。柄の表皮は平行菌糸被、菌糸は円柱形、幅 2~4µm、褐色の色素をもち、薄壁、偽アミロイド。柄シスチジ アは無い。柄の実質は縦に並んだ円柱形の菌糸 (幅 5~8µm)からなり、細胞壁は淡黄褐色、厚さ1µmm以下、偽アミロイド。全ての組織において菌糸はクランプを持つ。
 6 シロカレハタケ(シロカレバタケ) Marasmius prasiosmus (Fr.) Fr 日本、ロシア、ヨーロッパ、北アメリカに分布。秋に広葉樹(コナラ属、クマシデ属、ヨーロッパブナ)の落葉上に発生する。シロカレハタケ節、モリノカレバタケ型。傘は直径1~3(4)㎝、饅頭形~扁平、吸水変色性(hygrophanous)、ときにしわがあり、半透明の条線がある。傘表面は 赤褐色~オーカークリーム色(ocher-cream)~タン色~クリーム色で、中央がやや暗い褐色、その後、 中央が汚れたほとんど白色になる。柄は長さ2~8(10)㎝、幅1~2(4)㎜、赤褐色~灰褐色、上部はクリーム色、粉状~柔毛状、基部に目立つ白毛(菌糸体)がある。ひだは密、上生、帯白色~クリーム色~黄色、全縁、1/2程度の数の小ひだがある。肉は質が薄く、帯白色~帯黄色、茎の肉は濃色。強いニンニク臭があり、ニンニクのような強い味がある。胞子紋は白色。胞子は長さ(8)8.5~10(10.5)µm、幅4~4.8(5) µm、楕円形~紡錘形、1~3個の油滴がある。担子器は長さ30~36µm、幅7~8µm、棍棒形。縁シスチジア、側シスチジアは無い。柄シスチジアは多数ある。傘上表皮層は子実層状被、平滑な末端細胞からなる。
 7 ニオイヒメホウライタケ Marasmius scorodonius (Fr.) Fr. 日本、ヨーロッパ、北アメリカに分布。夏~秋に林内の腐植質土上やコケ類中に散生し、針葉樹の落葉上、たまに広葉樹の枯木上にも発生する。シロカレハタケ節、モリノカレバタケ型。傘は直径1~2(3)㎝、饅頭形~広饅頭形~広鐘形、しんばしば中央が凹むか、突き出る。傘表面は乾き、無毛、わずかにしわが寄り、幼時は褐色(赤褐色~黄褐色)、すぐにバフ色~淡タン色に退色すし、中央はわずかに濃色になることもある。ひだは直生~やや離生、やや密~やや疎、まれに小さな襟帯があり、帯白色~淡タン色。柄は長さ1.5~6㎝、幅0.5~3㎜、上下同径、乾き、光沢がある、無毛、基部近くに少し細かい毛があり、帯白色~淡タン色、後に基部付近から上が赤褐色~暗褐色になる。肉は質が薄く、実体がなく、強いニンニク臭やタマネギ臭や味がある。胞子紋は白色。胞子は長さ6~10µm、幅3~5 µm、平滑、ナシの種子形~楕円形、非アミロイド。側シスチジアは無い。縁シスチジアは長さ40×11µm以下、ほぼ棍棒形~円柱形~不規則、しばしば分裂し、取っ手状又は棒状の突起がある。傘上表皮層は子実層状被、類球形~棍棒形~不規則な細胞からなる層であり、ときに指状の突出がある。北アメリカ産は可食とされている。。
 ヨーロッパに普通に見られるMarasmius alliaceusは同じようにニンニク臭がしてgarlic parachuteと呼ばれる。傘が直径2~5㎝と大きく、柄が長く、黒色。広葉樹のブナ属の腐植残留物上に生える。シロカレハタケ(シロカレバタケ) Marasmius prasiosmusはニンニク臭がするが、傘が半球形であり、コナラ属に生える。
 8 ミヤコホウライタケ Marasmius echinatulus Sing. 日本、中国、南アメリカ(ボリビア、ブラジル、アルゼンチン)に分布する。草地又は林地(アカマツ混成林など)の落葉上、地上に群生、束生する(南アメリカ産のものは束生しない)。中国名は硬刺小皮伞。傘は直径1~3.5㎝、朱がかったオレンジ色、 微毛(傘上表皮のシスチジア)が密生する。南アメリカ産のものは傘の縁に溝線があり、やや吸水性があり、湿時、長い半透明の条線が表出する。ひだは直生、密、白色、不等長。柄は中実、長さ18~36㎜、幅1~5㎜、下部がやや太く、ときに扁圧され、傘とほぼ同色、微毛(柄シスチジア)が密生し、基部に白色の菌糸体がある。肉は類白色。胞子は長さ7~8µm、幅3~3.5 µm。
 9 ミヤマオチバタケ Marasmius cohaerens (Alb. et Schwein.) Quél. 北半球温帯に広く分布する。 初夏~秋に広葉樹林の落葉、枯木に発生する。針葉樹林にも見られ、針葉樹の枯木に発生するものはvar. lachnophyllus。傘は直径1~3.5㎝、饅頭形~広饅頭形、平滑又はやや小じわがあり、ときに縁に条線があり、黄褐色~赤褐色、ときに縁が劇的に色あせる。ひだは直生、疎~やや疎、初めは淡色、後にタン色~淡褐色になり、ときに縁が褐色になる。柄は長さ3~8㎝、幅3㎜以下、上下同径、乾き、直線状かやや曲がり、初め、帯白色~黄褐色、すぐに基部から暗褐色~暗赤褐色になる。普通、基部に白色の菌糸体を多数つける。肉は質が薄く、淡色、味は温和又はわずかに苦く、後味が刺激的、臭いは温和又は刺激臭、不快臭。KOHにより傘表面は淡オリーブ色に変色する。胞子紋は白色。胞子は長さ7~10µm、幅3~5.5µm、楕円形、平滑、非アミロイド。シスチジアは形が様々で、しばしば長さ20~110µmの紡錘形、厚壁、偽アミロイド。箒状細胞がひだと傘表面にある。
 10 キホウライタケ Marasmius aurantiacus I. Hino =Gymnopus aurantiacus 日本、中国、南北アメリカに分布する。広葉樹の落葉に発生。傘は直径2~2.7㎝、黄褐色~暗褐色、条線と細かいしわがあり、細毛状。ひだは白色~帯黄色。柄は黄色~帯褐色、繊維状。Section Sicci Sing. Marasmius abundans var. aurantiacus
 11  サビイロオチバタケ(アメリカ南東部産) Marasmius fulvoferrugineus Gilliam ハナオチバタケに近いものとされることもあるが、Marasmius fulvoferrugineusはハナオチバタケとは違い、ハリガネオチバタケMarasmius siccusに近く、北アメリカ南東部に分布する。6~11月、林内の腐葉上や腐植土上に群生する。傘は直径2~4.5㎝、初め、クッション形~鐘形、後に饅頭形、小さい中心突起がある。傘表面は乾き、光沢が無く、わずかにベルベット状、放射状の深い溝条があり、黄褐色(tawny brown)~シナモンブラウン(cinnamon brown)~錆褐色(rusty brown)。柄は中空、長さ2.5~6.5(8)㎝、幅0.8~1.5㎜、非常に細く、丸く、直線状又は曲がり、ときに脆く、軟骨質、表面は平滑、光沢があり、頂部のピンク色の部分を除いて下部は褐色~黒褐色、基部に綿状の白色の菌糸体の房がつく。ひだは直生~上生又は湾生~離生、疎につき、しばしば密、黄白色、薄く、幅6㎜以下、標準では23~28個つく。肉は薄く、強く、粉臭又は無臭。胞子紋は白色。胞子は長さ15~18µm 、幅3~4.5µm、倒披針形~曲がった棍棒形、無色、平滑。担子器は長さ35~38µm 、幅8~12µm、棍棒形、4胞子性。シスチジアは普通無く、あっても光を屈折する内容物をもたない。ハリガネオチバタケ(チャハリガネオチバタケ) Marasmius siccus とよく混同されるが傘の色が異なる。(参考: Mushrooms of the Southeastern United States など)
 12 マダラホウライタケ Marasmius maculosus Har. Takah. 日本(本州中部)に分布する。広葉樹(コナラ属、シイ属)の落葉の間に厚い白色の菌糸マットを形成する。傘は直径2~5㎝、初め、半球形、後に広饅頭形、吸水性。傘表面はビロード状、初め濃赤褐色、後にやや淡色になり、明瞭な淡色の斑点模様を表出する。肉は厚さ1㎜以下と薄く、傘より淡色、無味、無臭。柄は中空、中心生、長さ5~8㎝、幅1.5~2.5㎜、上下同径、表面は微粉状、傘と同色で頂部は類白色、基部は発達した剛毛状~綿毛状の菌糸体に覆われる。ひだは上生、やや疎(柄に届くもの14~17個)、幅5㎜以下、白色、縁は赤褐色の縁取りがあり、わずかに連絡脈がある。胞子紋は白色。胞子は長さ8.5~11µm 、幅4~5µm、類紡錘形、無色、平滑、薄壁、非アミロイド。担子器は不明。偽担子器は棍棒形。縁シスチジアは密生し、縁に不稔帯を形成する。側シスチジアは無い。子実層托は並列型、菌糸は傘実質に似る。傘上表皮は子実層状被、ハリガネオチバタケ型の細胞からなり、細胞は付属糸を除いて長さ20~30µm 、幅7~12µm、細胞壁厚さ1µm以下で赤褐色、偽アミロイド。傘実質の菌糸は円柱形、幅5~10µm、並列し、厚さ0.5µmのやや厚壁、非アミロイド~弱偽アミロイド、クランプがある。柄シスチジアは長さ20~55µm 、幅5~8µm、円柱形~類棍棒形、褐色、厚さ0.5µmのやや厚壁、偽アミロイド。柄の実質は菌糸が縦に並び、菌糸は幅4~9µmの円柱形、無色、薄壁、偽アミロイド。実質の菌糸はクランプがある。
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