きのこ図鑑
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 ハナオチバタケ  花落葉茸
中 国 名 紫红小皮伞 zi hong xiao pi san
学  名 Marasmius pulcherripes Peck
分  類 坦子菌門 ハラタケ亜門 ハラタケ綱 ハラタケ亜綱 ハラタケ目(Agaricales)
科  属 ホウライタケ科  Marasmiaceae  ホウライタケ属
 傘は直径0.8~1.5㎝、鐘形~低い円錐形、放射状に深い溝条があり、中央に小突起がある。背面は乾燥し粘性なく、淡紅色~紫紅色、ときに橙褐色のものもある(褐色型)。柄は長さ3~8㎝、幅約1㎜、針金状、上部は淡色、下部は黒褐色~濃紫紅色、基部に白色を帯びた菌糸体がつく。ひだは疎に16~19個つき、直生~離生。肉はごく薄く、皮質、味はわずかに苦く、無臭。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ11~15.5µm、幅3.5~4µmの棍棒形、平滑。縁シスチジアは長さ9~13µm、幅4~7µmの箒状。傘シスチジアは長さ8~15µm、幅5~6µmの箒状。側シスチジアは長さ20~60µm、幅2~11µmの円柱形~棍棒形。
 ホウライタケ型marasmioidのきのこは胞子紋が白色、傘が極小~小、饅頭形~扁平、円錐形にはならず、柄は針金状。落葉や枯木、木の崩壊堆積物に発生する。モリノカレバ型collybioidやクヌギタケ型mycenoidと混同されやすいものもある。ホウライタケ属 Marasmius、シロホウライタケ属MarasmiellusのほかRhizomarasmius属 、Mycetinis属に分類されるものがある。
ハナオチバタケ
ハナオチバタケ初期
発生時期 夏~秋
大 き さ 小型 直径0.8~1.5㎝
栄養摂取 腐生菌
発生場所 林内の腐葉上 
分  布 日本、中国、台湾、北アメリカ
食  毒 不食
撮  影 田原市 14.7.17
ハナオチバタケ傘
ハナオチバタケ傘
ハナオチバタケひだ
 類似種は次のとおり。

【ホウライタケ属 Marasmius】
 世界の熱帯~亜熱帯に約500種が知られる。普通、腐生菌であり、材上生または葉上生、しばしばイネ科など草本の根や葉に発生する。子実体はホウライタケ型、モリノカレバタケ型、ときにヒラタケ型。普通、強靭、吸水復元性がある。①柄は光沢のある黒色剛毛状、基部は無毛。しばしば黒色根状菌糸束を有し、菌糸束状柄(telepods)が存在することもある。②肉はときにニンニク臭がある。子実層托はひだ状、まれに平滑~脈状、老成時のみひだ状、ときに脈絡がある。実質全体または③少なくとも柄の実質が偽アミロイド。傘の実質は1菌糸型、偽アミロイド又は非アミロイド、非ゼラチン質、菌糸は普通、クランプを持つ。 胞子は非アミロイド。➃ひだの縁及び傘の上表皮層に箒状細胞が存在する。傘上表皮層はラメアレス構造からなる平行菌糸被。

<傘が紅色~橙色~赤褐色>
 1 ハナオチバタケ Marasmius pulcherripes Peck: 日本、中国、台湾、北アメリカに分布する。夏~秋に針葉樹又は広葉樹の腐葉の上に発生する。傘は直径0.8~1.5㎝、鐘形~低い円錐形、放射状に深い溝条があり、中央に小突起がある。背面は乾燥し粘性なく、淡紅色(pink)~紫紅色~(pinkish brown)、ときに橙褐色(brownish orange)のものもある(褐色型)。柄は長さ3~8㎝、幅約1㎜、針金状、上部は淡色、下部は黒褐色~濃紫紅色、基部に白色を帯びた菌糸体がつく。ひだは疎に16~19個つき、直生~離生。肉はごく薄く、皮質、味はわずかに苦く、無臭。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ11~15.5µm、幅3.5~4µmの棍棒形、平滑。縁シスチジアは長さ9~13µm、幅4~7µmの箒状。傘シスチジアは長さ8~15µm、幅5~6µmの箒状。側シスチジアは長さ20~60µm、幅2~11µmの円柱形~棍棒形。
 ※ハナオチバタケに近い橙褐色の種をサビイロオチバタケと呼んでいる。サビイロオチバタケの学名とされるMarasmius fulvoferrugineus はやや大きく、ひだの数は普通、23~28個つく。胞子も大きく、普通シスチジアがない。

 2 カエンオチバタケ(カバイロオチバタケ) Marasmius opulentus Har. Takah. 日本(本州中部, 沖縄県石垣島)に分布する。)照葉樹林内の落葉堆積上に発生する。傘は直径 14~22㎜、饅頭形~ほぼ平開, 通常、中丘は無く、しばしば微細な皺があり、 周縁に微細な溝線を表出する、傘の背面は乾き、光沢は無く、細かいビロード状の毛が密生し、濃橙色、古くなるとやや退色する。.柄は長さ25~33㎜、幅0.8~1.5㎜、上下同径、中空、しばしば偏圧し、丈夫、表面は粉状~微毛状~ビロード状、 頂部白色、下部は下方ほど濃色、帯褐橙色~褐色~暗褐色、基部に白色の菌糸体がある。ひだは上生, やや疎~やや密 、白色、少し連絡脈がある。縁部は全縁、赤橙色~橙色に縁取られる。肉は質が薄く、類白色、無味、無臭。胞子紋は白色。胞子は長さ8~10µm、幅3.5~4µm、楕円形~アーモンド形、平滑、無色、 非アミ ロイド、薄壁~やや厚壁。 担子器は長さ22~25µm、幅5~7µm、棍棒形、4胞子性。縁シスチジアは群生し、側シスチジアは無い。
 3 ハリガネオチバタケ(チャハリガネオチバタケ) Marasmius siccus 日本、中国、北アメリカに分布する。夏~秋に広葉樹林(稀に針葉樹林)の腐葉上に散生~群生する。傘は直径5~30㎜、半球形~鐘形~クッション形、中央は盛り上がるものから凹むものまであり、明瞭なひだ状のしわがあり、平滑~わずかに粗、乾き、無毛、新鮮なときにオレンジ色、古くなると淡褐色に退色する。ひだは直生~離生、ごく粗、白色~淡黄色。柄は長さ2.5~6.5㎝、幅約1㎜、上下同径、乾き、針金状、上部は帯白色~帯黄色、下部は褐色になり、基部に近いほど濃色になる、基部の菌糸体は白色。肉は質が薄く、無臭、味は温和又はわずかに苦い。KOHによに傘表面の変色性は無い。胞子紋は白色。胞子は無色、長さ15~23.5µm、幅2.5~5µm、紡錘形~円筒形~棍棒形、平滑、非アミロイド。側シスチジアは長さ約70µm、幅約15µm、紡錘形~紡錘状腹便形。縁シスチジアは薄壁、偽アミロイド、箒状細胞。傘上表皮層は子実層状被であり、偽アミロイドの箒状細胞がある。
 4 シワオチバタケ Marasmius glabellus Peck 日本、北アメリカに分布する。夏~秋、広葉樹の落葉に発生する。傘は直径5~25(4~15)㎜、饅頭形~広饅頭形、条線又は溝線があり、類ビロード状、傘の中央に小さい窪みがある。表面は黄褐色(暗銹色で淡色の線条がある)。ひだは上生、疎、幅広、襟帯無く、縁取りもなく、帯黄色、小ひだは1段。 柄は長さ1.5~5.8(2~5)㎝、幅0.75~1.8㎜(0.5~1㎜)、上下同径~基部がわずかに膨れ、無毛、光沢があり、上部は白色~帯黄色(わら色)、下部は暗褐色(黄褐色tawny)になり、根状菌糸束は無いが、白色~淡橙黄色(クリーム色)の菌糸体がある(non-insititious)。肉は臭いが温和なsperimatic。胞子は長さ7~12µm、幅3~6µm(長さ7.2~11.2µm、幅4~5.6µm)、ナシの種子形又は楕円形、側面からは不等辺、無色、非アミロイド平滑。担子器は長さ28~34µm、幅5.5~7.5µm、4胞子性、類棍棒形。バシジオールは円柱形~類棍棒形。側シスチジアは珍しく、長さ32~52µm、幅5~8µm、不規則な円柱形~紡錘形、ときに付属体があり、子実下層から生じ、バシジオールを越えて、16µm以下突き出し、弱く屈折又は屈折せず、無色、非アミロイド、薄壁。縁シスチジアは普通で、 ハリガネオチバタケ型 (Siccus-type)の傘上表皮層要素に似ている。主体は長さ10~20µm、幅5~8µm、円柱形~棍棒形~類含小嚢形、普通、無色、薄壁、まれに淡橙色、堅固な壁がある。先の小毛は長さ2~6µm、幅1~2µm、不規則な円柱形~円錐形、鈍形~類鋭形、中実、淡橙色~黄土色、色素の範囲は弱いデキストリノイド。傘の実質は織り合わされる。ひだの実質は規則的、菌糸は直径2.5~10µm、円柱形又は膨らみ、ゼラチン化せず、無色、弱くデキストリノイド、薄壁、クランプがある。柄の組織は1菌糸型、皮質の菌糸は直径2.5~5(8)µm、平行、円柱形、平滑、無色~淡黄色(柄の先)、又は黄土色(柄の基部)、強く、デキストリノイド、壁は厚さ1µm以下。髄の菌糸は似ているが、無色、薄壁。ミヤマオチバタケに似るが、子実層に剛毛がない。
 5 ヒカゲオチエダタケ(ヒカゲオチバタ) Marasmius occultatus Har. Takah.日本(中部 )に発生する。広葉樹(ムクノキ、シラカシ)中心の林内の落枝に発生する。傘は直径12~27㎜。初め、半球形、後に饅頭形~扁平、周縁に浅い溝線があり、乾き、光沢は無く、ビロ-ド状、成熟するとしばしば著しい白色粉状帯を表出し、帯褐橙色~褐色~淡褐色、中央部はやや暗色。肉は薄く、傘より淡色、無味、無臭。柄は長さ3~5㎝、幅0.8~1.3㎜、円柱形、中心生、強靱、中空。柄表面は光沢があり、平滑、 傘と同色、頂部は淡色、基部は白色の長剛毛状の菌糸体が密生する。ひだはやや離生~上生、やや疎~やや密 (柄に届くもの17~20個)、 白色、幅 2.5㎜、縁は平坦、縁取り無く、目立つ連絡脈は無い。胞子紋は白色。胞子は長さ14~16µm、幅3~4µm、狭棍棒形~円柱状紡錘形、平滑、無色、薄壁、非アミロイド。担子器は長さ23~32µm、幅6~8µm、棍棒形、4胞子性。偽担子器は紡錘形 ~紡錘状棍棒形。ひだの縁部は稔性、縁シスチジアはまれ、あれば傘の上表皮細胞に似るがより小型で無色。 側シスチジアは無い。子実層托実質は平列型~不規則型、菌糸は傘実質に似る。傘上表皮は子実層状被、細胞はハリガネオチバタケ型 (Siccus-type) 、付属糸を除く長さ27~34µm、幅7-11µm、棍棒形~不規則な形状、ときに裂け目を生じ、頂部に黄褐色の指状付属糸 (長さ2~7µm、幅0.8~1.5µm)が密生 し、細胞壁は黄褐色、厚さ 1µm以下、偽アミロイド。傘実質の菌糸は幅4~13µm、平列又は緩く錯綜し、類円柱形、しばしば肥大し、無色、薄壁、偽アミロイド。柄の表皮は平行菌糸被、菌糸は円柱形、幅 2~4µm、褐色の色素をもち、薄壁、偽アミロイド。柄シスチジ アは無い。柄の実質は縦に並んだ円柱形の菌糸 (幅 5~8µm)からなり、細胞壁は淡黄褐色、厚さ1µmm以下、偽アミロイド。全ての組織において菌糸はクランプを持つ。.

 11  サビイロオチバタケ Marasmius fulvoferrugineus Gilliam ハナオチバタケに近いものとされることもあるが、Marasmius fulvoferrugineusはハナオチバタケとは違い、ハリガネオチバタケMarasmius siccusに近く、北アメリカ南部に分布する。林内の腐葉上に群生する。傘は直径2~4.5㎝、初め、クッション形~鐘形、後に饅頭形、小さい中心突起がある。傘表面は乾き、ときにビロード状、、中央付近から放射状の溝条があり、縁はひだ状、黄褐色(tawny brown)~銹褐色(rusty brown)。柄は中空、長さ5.4~8㎝、幅1~1.25㎜、直線状又は曲がり、表面は平滑、光沢があり、頂部のピンク色の部分を除いては暗褐色、基部に綿状の白色の菌糸体がある。ひだは離生、疎、黄白色、薄く、幅6㎜以下、標準では23~28個つく。肉は弱い紛臭と味(新鮮な小麦粉のような)がある。胞子紋は白色。胞子は長さ15.2~18µm 、幅3~4.5µm、倒披針形~曲がった棍棒形、無色、平滑。担子器は長さ35~38µm 、幅8~12µm、棍棒形、4胞子性。シスチジアは普通無く、あっても光を屈折する内容物をもたない。ハリガネオチバタケ(チャハリガネオチバタケ) Marasmius siccus とよく混同されるが傘の色が異なる。

【シロホウライタケ属 Marasmiellus】
  子実体は小型~微小なものが多く、普通、ホウライタケ型~モリノカレバタケ型。傘は無毛平滑~密綿毛状~ 密に細かい綿毛状。傘上表皮層はラメアレス構造からなる平行菌糸被。柄は粉状~細軟毛状~細密綿毛状~後に平滑。

 1 ムラサキヤマンバ Marasmiellus crassitunicatus Har.Takah. et Degawa 傘径2.5~7㎜、暗赤褐色、平開。
     傘表面は微細な繊維状~密綿毛状。柄は中空、傘より濃い暗赤褐色~暗褐色。針葉樹の生木樹皮に束生。日本 
<傘が紫褐色>
 1 ムニンシロホウライタケ Marasmiellus leiophyllus (Berk. & M.A. Curtis) Neda 小笠原諸島産。子実体はヒラタケ型

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